第7回:あらゆる病気を治すために必要な話

川尻 さっそくやけど、今回はBPSの話をしたいねん。

S ビー・ピー・エス、ですか?

川尻 せや。バイオ・サイコ・ソーシャル(Bio Phyco Social)・アプローチ。日本語で言うと、生物的・心理的・社会的アプローチやね。特に慢性の痛みに対しての研究から出てきたんやけど、そこから派生して、多くの医療の現場で、この3つの観点からのアプローチが重要だって言われるようになってきているねん。

  おお。医療現場でも、身体だけ見ていればいいわけではないと認識されてきているということですね?

川尻 せやねん。ただ、一般的には、医療従事者だけでなく、医療を受ける立場の人も、何か症状があったときにどうしても身体から見ることを優先してしまうねんな。このBPSについても勘違いされている部分があるような気がして、ちゃんと説明したいねん。

 はい。では、ぜひ教えてください。

 

バイオ・サイコ・ソーシャル(BPS)・アプローチとは?

川尻 バイオ・サイコ・ソーシャル・アプローチっていうのは、症状に対して、生物的・心理的・社会的、3つの要素でアプローチすることが大事ってことやねん。逆に言うと、生物的・生理的・社会的という3つの要素が痛みとか症状に関係しているってことや。

S はい。

川尻 ここで大事なポイントは、生物的なもの、心理的なもの、社会的なもの、全ての要素が同じだけのインパクトを与えているってことや。身体にどこか悪い部分があって、だから気持ちがふさぎぎ込んで、気持ちがふさぎこむから社会生活ができなくなって…というような主従関係ではないねん。

 体と心、環境的な要因の相関関係の話ではなくて、それら全部が同じくらいの重要度で痛みや症状に影響しているという話なんですね。なんとなくわかるんですけど、具体的にはどう影響を与えているんでしょう?

川尻 何度も言っているけど、身体に起こっていることは全て、あらゆるインプット情報を脳がプロセスした結果の反応や。それが痛みであれ、症状であれ、全部がインプットの結果の反応。

脳はインプット情報に応じて、神経ネットワークを作ってプロセスしているんやけど、インプットを変えると脳の神経ネットワークが変わるねん。脳内でこれまでの繋がりとまた違う繋がりができて、その結果、痛みとか症状の出方が変わるねんな。

生理的・心理的・社会的という3つの要素はどれも神経ネットワークを変えるインプット情報ということやねん。だから、その3つには優劣はない。生理的・心理的・社会的の3要素は、どれも同じだけのインパクトを持って脳のネットワークを変えうるねん。

 なるほど。身体をケアすることも、心理的なケアをすることも、社会的なケアをすることも、脳に与える影響の強さは同じってことか。

 

生物的、心理的、社会的要素とは

S ところで、生物的っていうのは身体に関する要素とわかるのですが、心理的、社会的な要素って何なんでしょう?

川尻 そこも間違えられやすいポイントやねんけど、心理的要素っていうのは痛いと思い込んでいるから痛みが出るとか、精神的におかしいとか、そういうことではないねん。ここで言う心理的要素とは、単純に「気持ち」「感情」と考えるとええね。

 これまでの出来事にどんな感情を持ってきたか、今どんな気持ちか、ということも脳を通して、痛みなどの症状に影響しているということですね?

川尻 せやね。

S 社会的要素は?

川尻 社会的要素というのは、簡単に言えば、人とのつながり人から認められる、好かれる、愛される、拒否される、そういったことによっても脳の中の神経ネットワークは大きく変化するねんな。

 そういえば、以前、股関節が痛くなって先生のところに行ったとき、「最近、嫌なこととか、ストレスを感じることあった?」って聞かれたことを思い出しました。「ストレスで胃が痛くなるというのはよく聞くけど股関節にストレスが関係あるの?」って当時は思いましたけど、痛みが出たってことは、そのときに何かしら脳の中のネットワークを変える要素があった可能性があると言えますね?

川尻 せやねん。股関節が痛いからって股関節に何か起こっているわけではないねん。身体って目に見えるぶん、わかりやすいから、何か症状が出るとみんなつい「身体のどこかがおかしいんちゃうか」って考えるけど、目に見えない要素というのも同じくらい症状に影響しているねん。

 

患者側も変わる必要がある

川尻 それでな、このバイオ・サイコ・ソーシャル・アプローチについて、医療従事者だけじゃなくて、患者の立場になるみんなにも知っておいてもらいたいねん。っていうのも、極端な話、「何でもいいからお薬出して」っていう患者さんもおるねん。そうすると患者さんの満足度を上げるために必要なくともお薬出しておこうみたいなことが起こるねん。

けど、何か症状が出てり、病気と診断されたとき、そこに至るまでには、これまで抱いてきた感情や、旦那さんや彼氏彼女、親、子どもとの関係やら、職場の人間関係やら、身体だけでなく心や環境的な要素が全部かかわってるねん。

S そのことを知っていれば、我々、患者側も、根本的な治癒のためには、生物的・心理的・社会的という3つのアプローチ、全てのケアが大事だとわかりますね。そうすると、おのずと全部をケアできるような選択をしていくようになりますものね。

川尻 せや。だから、生理的、心理的、社会的アプローチがどれも同じくらい大事ということを患者サイドも理解していくことが医療全体を次のステージに引き上げていくことになると思うねん。

医師、カウンセラー、さまざまな治療家、いろいろいて、それぞれ生理的、心理的、社会的のどこからアプローチするのが得意かは違う。でもまあ最終的には、一人なりチームなりで3つの全ての要素からアプローチできるのがいい医師、いいセラピストということになっていくやろうね。

今回は症状があること前提で話したけれども、生物的、心理的、社会的要素がどれも同じくらい脳の神経ネットワークを変えるインパクトを持っていると知れば、健康であるためには、身体のケアだけじゃなく、感情的なことや、人とのつながりといった社会的なこと、全ての要素を大切にしていくことが大事ってこともわかるやろ。

S ですね!

 

このブログでは、皆様からの質問や疑問を募集しています。今回のトピックに関する質問でも、川尻先生に聞いてみたいことでも何でもかまいません。ぜひコメント欄にご記入ください。個別回答はできかねますが、今後、ブログのトピックとして川尻先生にぶつけ、回答していただくつもりです!

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