第10回:疲れるとめまいや耳鳴りがするとき

S このブログもついに10回目の投稿です! これまでの10回で、症状というのは何か、基本的なことがだいぶわかるようになりました。おかげで悩まされていた胃痛もなく、体調もばっちりです。今回は初心に返って、具体的な症状について取り上げて、先生に教えていただきたいと思います。

川尻 どんな症状について話そうか?

S 聞きたいのは、めまいと耳鳴り。周りに多いんですよ。疲れるとめまいがするとか、耳鳴りがするとか。でも、病院に行っても原因はわからず、ストレスでしょうって言われるケース。

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川尻 ああ、よくあるね。そもそも、何か症状があるときに、「その原因はこれです」ってストレートに紐づけられる一つの原因があることは人間の体ではまずないねん。けど、体というものを全体で捉えて見ると、原因というか、理由はやっぱりあるねんな。

S 病院では原因不明、ストレス性と言われるめまいや耳鳴りにも原因というか理由があるんですね?

川尻 せやねん。

全体から見る、めまいと耳鳴りの原因とは

 

S さっそく、めまいと耳鳴りの仕組みを教えてください。

川尻 まず、人間の体には、今、自分の体がどうなっているのかを理解するためのシステムが大きく3つあるねん。

(1)視覚

(2)前庭感覚

(3)深部感覚

S (1)の視覚は目からの情報ですね。(2)前庭感覚、(3)深部感覚っていうのは何でしょう?

川尻 前庭感覚っていうのは、平衡感覚。体の傾きとか、前に行くか、後ろに行くか、上か下か、そういう感覚。

深部感覚というのは、例えば手を後ろにやったら、目をつぶっていても、手が後ろにあるってわかるやん? そういう風に、関節や筋肉からの情報をもとに今、体がどんなふうに動いているかを把握する感覚やね。

S わかりやすくまとめるとこんな感じかな?

(1)視覚:目から入る情報

(2)前庭感覚:平衡感覚。体の傾きや前後、上下などの感覚

(3)深部感覚:筋肉や関節が今どういう状態にあるかを把握する感覚

川尻 まあ、そうやね。

で、人間の体が今どんな状態かを把握するために、その3つが、カーナビのGPSのように働いてるねん。その3つから来る情報と指示が全部マッチしていたら、めちゃくちゃスムーズで快適な運転や。

でも、たまにその3つがズレちゃうわけ。そうすると、1つめのGPSは左に行けって言っているのに、2つめのGPSは真っ直ぐ進めって言うし、3つめのGPSは右に曲がれって言う、みたいなことが起こるねん。それって、自分の体がどうなっているのか把握できないってことで、脳の脅威のレベルが上がるねん(第3回)。そういうときに出てきやすいのが、めまいとか耳鳴りやねん。

S あー。視覚の情報と、前庭感覚の情報と、深部感覚の情報が一致しないと、脳としては危機を感じる。だから、めまいや耳鳴りという症状としてサインを送るってことですね?

川尻 せやねん。わかりやすい例が乗り物酔い。本を読むと酷くなるってよく言われるけど、本を読むと視覚の情報は静止しているのに、前庭感覚としては揺れているから、情報にズレが生じるから具合が悪くなるねんな。外を見たほうがまだ症状がマシになるのは、揺れている感覚と視界の感覚がマッチするからやねん。

S なるほどー。ところで3つの感覚がズレる原因って、乗り物以外には何があるんでしょうか?

 

なぜ視覚、前庭感覚、深部感覚がズレるか

 

川尻 ズレる原因はいろいろあるねん。たとえば運動不足だと深部感覚が弱くなったり。もともと生まれつき前庭感覚が弱い場合もあるし、パソコンを使い過ぎていると目の動きが悪くなって、周辺視野からの情報が少なくなったり

S あ〜。普通に生活していても気づかないうちに感覚のミスマッチを助長していることがありそうですね。

川尻 そう。そういう観点から考えると、トレッドミルを走るとか、ステーショナリーバイク(サイクリングマシン)で運動するっていうのは、最高とは言えないわけ。体は前に走っているっていう感覚なのに、目とか平衡感覚からは「前に進んでない」っていう情報がくるわけやからミスマッチが大きくなるねん。

もちろん、ああいうマシンはすごく考えて作られているし、現代のライフスタイルの中で運動するのに適しているのは事実だから、一概にダメとは言わんけど、やっぱり人間は走るにしても自転車に乗るにしても外でやるほうがいいねんな。

S そうなんだ。運動するという点ではトレッドミルもサイクリングマシーンもいいかもしれないけれど、視覚、前庭感覚、深部感覚の一致という点では混乱を招く可能性があるということですね。

川尻 せや。人間の脳は、さまざまな感覚からの情報を統合して全体で1つの判断を下すから、情報がまとまっているほど使いやすいねんな。

だから、まずは体っていうのはそういう仕組みだってことを理解するってことが大事やねん。

メニエール病やストレス性難聴とか、めまいや耳鳴りが症状のもので、今、「原因不明」「ストレス性」で片付けられているものも、視覚、前庭感覚、深部感覚のミスマッチっていう観点から見たら何らかの形で改善方法が見つかる可能性が高いねん。

 

めまいや耳鳴りを軽減するために

 

S めまいや耳鳴りを、視覚と前庭感覚、深部感覚のミスマッチという観点から見られる専門家はいるのですか?

川尻 なかなかそういったことを全体的に大きな視点として捉えて治療やアプローチができるところを探すのは難しいなぁ。最近ではさまざまな専門家がチームになって情報を共有しながらっていうチームアプローチの芽がやっと出てきかけてるけどね。

S めまいは眼科、耳鳴りは耳鼻科って思いがちですけど…。

川尻 もちろん、最終的にはお医者さんもそういう判断ができるようになるとええんやけどね。

余談やけど、多動性障害で、ずっとジャンプしている子とかおるやん? ああいう子って、前庭感覚からの情報がもともと少なくて、脳がその情報がほしくて飛び回ったりしていることもあるねん。

そういう子の動きを止めようとしても、体というシステムとしては情報が減ってしんどくなるだけだからまず止められない。薬で動きだけ止めると問題が大きくなる可能性もあるわけや。

S なるほど。どんな症状も、体を全体のシステムとして見ることが、この先は大事になってきそうですね。

ところで、めまいや耳鳴りについて、専門家に見てもらうほかに、自分でできるケアはありますか?

川尻 歩くこと。とにかく外を歩くことやね。

S 走るより、歩くほうがいいんですか?

川尻 いや、走ってもええよ。ただ、ちゃんと外でやること。携帯を見ながらでもなくて。そうすると、視覚、前庭感覚、深部感覚がマッチしていくねん。

もちろん、めまいでフラフラしてバランスを取ることもできない場合は危険やからあかんけど、ちょっと疲れるとめまいや耳鳴りが出るという軽い症状の人は、がんばって歩いてみると変化を感じると思うで。

 

このブログでは、皆様からの質問や疑問を募集しています。今回のトピックに関する質問でも、川尻先生に聞いてみたいことでも何でもかまいません。ぜひコメント欄にご記入ください。個別回答はできかねますが、今後、ブログのトピックとして川尻先生にぶつけ、回答していただくつもりです!

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