第12回:コロナ後を幸せに生きるために知っておきたいこと

S  先生、唐突ですけど、以前、健康のために必要なこととして、BPSの話してくれたじゃないですか? Biological、Psycological、Socialの3つが大事という話。

川尻 そうそう、肉体的なことと心理的なこと、そして社会環境的なこと、どれもが人間の健康に同じくらいのインパクトで影響しているっていう話な。

S そう。それで、今回はちょっと社会環境的な話を聞いてみたいんです。

というのも、コロナパンデミックで各国が自粛要請したり、外出禁止令を出したりして、日常が大きく変わったじゃないですか? ワクチンや特効薬が開発されれば、そのうちもとに戻るのかもしれませんが、戻らずに変わっていくものも多いんじゃないかなって思って。

社会的なことも我々の健康に大きなインパクトを持っているとしたら、この先の世界がどうなるのか? それに対してどんな心構えをしておけばいいのか? それを知っておきたいなと。先生は最近チームや企業のコンサルもなさっているので、ぜひそういった話も教えてもらえないでしょうか?

川尻 それな。確かに、「コロナ前の世界」「コロナ後の世界」っていうふうな区分けが、最近よくされているね。それについて俺がまず言いたいのは、一度フラットにしておくことを忘れたらあかんってことやな。

S フラットにしておく?

 

 

コロナ後の世界はどうなる?

 

川尻 このコロナでいろいろなことが変わっているけど、顕著なのは、オンライン化、デジタル化が、急速に進んだこと。これはみんな感じてると思うけど、多くの人が日常でテクノロジーを使わざるを得ない環境になって、一般の人のオンラインやデジタルサービスに対する捉え方は急激に変わってきたと思うねん。

ただ、こういったテクノロジーの進化は、前々からいずれかは起こると予想されていたことや。AI(人工知能)が人間の知能を追い越す地点は遠からず来ると以前から言われていたように、テクノロジーの進化はもともとコロナ関係なしに、飛躍的、爆発的に進む方向にあったんよな。

S そうか…コロナのせいでテクノロジーが急に発展したわけではないってことですね?

川尻 そう。コロナで変わったんではなくて、コロナがなければ30年50年かかったであろう変化が、コロナによってえらい勢いで加速されたってこと。まずそういった現状をフラットに見ておくってことがひとつ大事なことやと思うねん。

S ああ、なるほど。そう言われると、私は「このコロナを機に大変化が起こる!」という雰囲気に飲まれて浮き足立って、実態を冷静に見ることを忘れていたかもしれません…。とはいえ、いろいろなオンライン化が急に進んでいるのは事実ですよね? それはやっぱり大変化ですよね?

川尻 うん。ただ、歴史学者の人たちの見解を読んだり聞いたりすると、だいたいみんな「基本、人間は変わらないで」っていうようなことを言ってたりすんねんな。1918年から20年に流行したスペイン風邪の時も、えらい騒ぎになったけど、その後の歴史を見ると人類はそんなことすっかり忘れているんやて。だから、歴史学者に言わせると、何が起こっても人間の本質的な部分は大きくは変わらんと。それも確かにその通りやろなと思うねん。

だから、テクノロジーの進化が急速になったからといって、人類全体が大変化するってことはそうないんちゃうかな。ただ、テクノロジーの変化にアジャストして変わっていく人と、そうでない人、大きな二極化が起きてくるやろうなとは思う。

 なるほど。二極化するなら、私は変化していくほうでありたいなぁ。だって、ここで取りこぼされたらへたしたら50代で「世の中のいろんなことについていけない」ってなりそうじゃないですか? 今までだったらもっと年を取ってから直面していたような疎外感が早くやってきそうな気がする…。

川尻 そやねん。テクノロジーにアジャストしていかんと、社会とのつながりが薄れていったり、隔絶されたりする可能性が出てくるねん。

 

テクノロジーは人を豊かにするか?

 

S ただ、私は、オンラインだったりデジタルだったりに素直に心開けないんですよね…。40代にしてはITリテラシーは低いほうではないと思いますが、やっぱりオンラインよりリアルのつながりのほうが豊かだって思ってしまうというか…。アナログも好きだし…。

川尻 わかるわかる。俺も40代や。世代的に、ネットとかデジタルとかいうものに対して、もともと100%の信頼が持てない、ちょっとした不信感みたいのはずっとある。おそらく今30代以上の人、デジタルネイティブでない人にとってはこの急速なオンライン化、デジタル化は結構ハードルが高いと思うねん。

S でも、頑張ってついていったほうがいいんですよね?

川尻 頑張るんではなくて、このデジタル化、オンライン化を楽しんでいくっていうマインドセットが非常に大切と思う。言い換えると、デジタル、オンラインを信頼するっていう心構え。信頼して、前向きに関係性を構築していくこと

でな、ひとつ言うと、オンライン化するからといって、オフラインがなくなるわけじゃないねん。今はコロナの制限があって、オンラインでしかやれないことがあるけど、今、オンラインを取り入れておけば、数年経っていろいろな制限が解除されたとき、オンラインとオフライン、2つの選択肢ができる、つまり選択肢が増えるねん。

 あ、そうか! 

川尻 「このひとつしか選べない」っていうのと、「いくつか選択肢があって好きなのを選ぶ」っていうのでは、選択肢が多いほうが幸せ度が高いはずやねん。それしか選べないっていうのはやっぱりストレスやから。

しかも、オンラインでもオフラインでも会えるという選択肢がある中で、あえてわざわざ直接会いに行くとなったら、オフラインでやる価値が高まるやろ? オンラインに偏るとオフラインがダメになるっていうシーソーのような関係ではなくて、オンラインでの価値が上がれば、自然とオフラインでの価値も上がるっていう関係やと思うねん。

S 確かにそうですね! そこがわかると、「こんな状況で仕方ないからオンライン化に追いつかなきゃ」というスタンスではなく、「今後の自分の幸せのためにオンライン化しよう」という気持ちで取り組めそうです。

川尻 このコロナで、俺もオンラインでセミナーをする機会が増えてな。最初は画面の向こうの人に向かって喋るのってリアルでないような感じがしたけど、何度もやってるうちに、ここ数回は、画面の向こうの「人感」みたいなものをめちゃくちゃリアルに感じている自分に気づいて面白かったで。人の脳の適応ってすごいと改めて自分の経験で学んだわ。

 最初は違和感や不便を感じたとしてもそれは脳が今までに慣れているからというだけ。続けていけば脳が新しい設定に適応して慣れていくってことですね。

川尻 せやねん。だから、食わず嫌いしないことが大事やね。

 

テクノロジーを使って何をするか?

 

 ところで、私、これまで、インターネットは世界に開かれているって、知識として知っていたけれど、自分のこととして腑に落ちていなかったんですよ。でも、今回のコロナのおかげで、いろんな博物館や美術館がオンラインイベントをしてくれて、それこそ家にいて世界中のものが見られることに今さらながら興奮したんです。っていうことは、「私も世界に向かって何かできるかも!」なんて思ったりもして。

ビジネスをしていたり、起業を考えている人たちに、インターネットやデジタルテクノロジーをどう使っていけばいいというようなアドバイスはありますか?

川尻 我々は新しいテクノロジーができると、その使い方を学ぶねんけど、忘れちゃあかんのは、テクノロジーはあくまでツールだってことな。「これを使って何ができるか」という以前に、「あなたは何がしたいんですか?」「どんな世界を作りたいんですか?」っていうのがないと何も始まらんやん。

 あ〜…ごもっとも…。

川尻 世界に大きな影響を与えたり、変革を起こしたりする人の数って、テクノロジーが進化しようとしまいと大きく変わらないと俺は思うねん。まずは何をしたいか、どんな世界を作りたいか。そこが明確にあってこそツールがいきるねん。

S そもそも何をやりたいか。テクノロジーと関係なく、まずはそこが出発点ということですね。

川尻 そう。多くの人が「何をしたいか」がモヤモヤのまんま「何をするか」ばっかり考えてるねんな。けど、「何をしたいか」っていうゴール地点、言い換えると目標設定をちゃんとしてないと、ツールの使い方を知っていても、どうしようもないねん。目標達成のためには、スタート地点、つまり現状把握するってことも大事やねんけど。その両方ができていない人がすごく多い気がする。

S 自分が何をしたいのかを見つけるためにはどうしたらいいですか? なんかちょっと「やりたいな〜」って思っても、「それ、本当にやりたいのかなぁ」ってすぐ自問自答しちゃうんです…。

川尻 「本当にやりたいのかなぁ」って思う時点で、たぶん本当にやりたいわけじゃないやろうね。

あと、「これが本当にしたいことなのかな?」っていう疑問が出てくるのって、「自分の中には何か1つの正解があるはず」っていうマインドセットがあるからやと思う。「自分の心の奥にはキラーンと光る何かがあるはずだ。それを見つけなきゃ」みたいな。でも、それ、ちゃうねん。

S え、違うんですか? 私、それを探してたかも…。

川尻 ちゃうちゃう。自分の中に隠れた何かがあるはずっていう考えをまずなくしたほうがええ。

自分のやりたいことっていうのは、自分の中に既にあるものを見つけ出すんじゃなくて、自分で作り出していくものやねん。人生の中のさまざまな時間と空間、つまり経験っていうものをたくさんした結果として創発的にできあがっていくもの。Aを経験したためにBの使命感に目覚めたみたいな、リニアな因果関係ではなくて、人生の中のさまざまな経験っていうものが一緒くたになって、その全てが要因になって、もわもわ〜って出てくるもの。あくまで、もわもわ〜って感じで、「これや!」みたいなクリアな一つが出てくることはそうないと思うねん。

S もわもわ〜っ、ですか…。わたしには出てきているような、出てきていないような…。

川尻 まだ出てこないとしたら、必要なだけの経験という要素が集まっていないだけや。だから、自分がいいなと思った話とか、いいなと感じた他人のビジョンとか、どんどんパクって、自分の中にポイポイって入れていったらええ。入れたもの全部がぐつぐつと煮込まれて自分というスープの深みになっていくから。そうやって入れたいものを入れていったら、だんだんと「これ、最初は何ができるかようわからんかったけど、どうやらカレーっぽいな」みたいな感じで、ほわーんとわかってくるねん。

これは何も俺の持論じゃなくて、みんな言っていることや。アップルのスティーブ・ジョブスさんも言ってたやろ? スタンフォード大学での有名なスピーチで、点を追いなさいって。点がどうつながるのかそのときはわかりようがないけど、振り返ったらきっとわかるからと。やりたいことっていうのは、そういうふうに点を追っているうちにつながってできあがっていくものやねん。

S 焦らなくてもいいってことでもありますね。私はこの非日常が続く中で浮き足立って「何かやらなきゃ」「変わらなきゃ」て焦ってたのかもしれないなぁ。お話を聞いて、今はいい意味でニュートラルに戻りました。コロナ前もコロナ後も、幸せと健康のためにやることの基本は変わらないってことがわかった気がします。「インプットをポジティブにすること」「自分の心の声を大事にすること」。これからも地道にこの2つを心掛けていくだけ、ですね!

このブログでは、皆様からの質問や疑問を募集しています。今回のトピックに関する質問でも、川尻先生に聞いてみたいことでも何でもかまいません。ぜひコメント欄にご記入ください。個別回答はできかねますが、今後、ブログのトピックとして川尻先生にぶつけ、回答していただくつもりです!

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